関節リウマチについて
当院では、日本整形外科学会認定リウマチ医である院長と副院長が診療を行っています。
関節リウマチは、痛みや動かしにくさだけでなく、進行すると関節が破壊されて変形し、日常生活に大きな支障を生じる可能性がある病気です。現在は早期に効果的な治療を行うことで症状がほぼない寛解状態が望めるケースが増えていますが、進行して手術が必要になることもあります。
日本には関節リウマチの患者様が100万人程度いて、毎年1万5千人が新たに発症しているとされています。発症する年代では30~50代が多く、女性が7~8割を占めています。
早期に発見して治療を開始することが重要ですので、下記のような初期症状に気付いたら、できるだけ早くご相談ください。
関節リウマチの主な初期症状
- 朝起きた際の手足のこわばり・動かしにくさ・感覚が鈍いなど
- 手首や指の関節痛、腫れ、熱感。
- 微熱、倦怠感、食欲不振
手足に起こる上記のような症状は、関節リウマチ以外の整形外科疾患によって起こっている可能性もあります。
関節リウマチの原因
身体には、細菌やウイルスなどの外敵から守る免疫という仕組みがあります。関節リウマチでは、この免疫に異常が起こって、ご自分の骨や軟骨などを外敵とみなして攻撃し、破壊してしまいます。免疫異常によってご自分の組織を攻撃する疾患は、自己免疫疾患と呼ばれています。
関節リウマチを含む自己免疫疾患は、体質的にかかりやすい場合に、なんらかの原因で発症するとされていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。指摘されている原因には、細菌やウイルスの感染、過労、ストレス、喫煙、出産、などがあります。遺伝的な要因も関与しているとされていますが、血縁者に関節リウマチの方がいても必ず発症するわけではありません。
関節リウマチの症状
関節に起こる主な症状は、朝のこわばり、痛み、腫れなどです。また進行すると関節リウマチによる滑膜の関節炎によって骨や軟骨、靭帯などが破壊されていき、関節が変形します。
また、関節以外にも、肺障害、腎機能障害、貧血などの症状を起こすことがあります。
リウマチの検査
問診や身体所見、X線検査、血液検査などの結果を総合的に判断して診断します。早期の場合、骨の変化がX線検査では確認できない場合がありますので、当院では超音波検査も併用して確認しています。
治療中の検査としては、血液検査、尿検査、X線検査などを定期的に行い、炎症の有無や程度、治療効果、副作用の有無や程度を確認し、結果によって処方をきめ細かく調整し、適切な治療につなげています。
関節リウマチの治療
炎症や痛みを抑え、進行を食い止めて関節の破壊を防ぐことを目的に治療を行います。メトトレキサートなどの抗リウマチ薬や生物学的製剤などによる薬物療法が中心になります。必要に応じて装具療法やリハビリなどを行います。手術が必要と判断された場合には、連携している高度医療機関をご紹介してスムーズに手術を受けていただけるようサポートし、退院後の治療やフォローを行います。
症状がほぼなくなる寛解状態を目指して治療を行います。寛解が困難な場合も、痛みをある程度コントロールした低疾患活動性を目標に治療し、日常生活に支障がない状態を目指します。良い状態をキープすることで生活の質の向上や維持につなげます。
関節リウマチには多くの治療薬があり、作用機序や効果の出方などもさまざまです。当院ではこうした薬剤の特徴を理解した上で、患者様の状態に合わせて適切に使い分けています。患者様としっかりコミュニケーションをとって、ご希望に沿う治療を心がけていますので、ご質問やご要望がありましたらなんでも遠慮なくお伝えください。
当院で使用可能なリウマチの薬
非ステロイド性抗炎症薬
痛み、炎症を抑えます。
ステロイド
強力な抗炎症作用や免疫抑制作用を持っているため、症状を改善に役立ちます。内服だけでなく、関節内注射でも用いられます。
抗リウマチ薬
- リウマトレックス、メトレート(メトトレキサート)
- プログラフ(タクロリムス)
- リマチル(ブシラミン)
- アザルフィジンEN(サラゾスルファピリジン)
- ケアラム、コルベット(イグラチモド)
- ブレディニン(ミゾリビン)
など
JAK阻害薬
- ゼルヤンツ(トファシチニブ)
- オルミエント(バリシチニブ)
生物学的製剤
- レミケード(インフリキシマブ)点滴静注
- エンブレル(エタネルセプト)皮下注射
- ヒュミラ(アダリムマブ)皮下注射
- アクテムラ(トシリズマブ)点滴静注・皮下注射
- オレンシア(アバタセプト)点滴静注・皮下注射
- シンポニー(ゴリムマブ)皮下注射
- シムジア(セルトリズマブペゴル)皮下注射
- ケブザラ(サリルマブ)皮下注射
リハビリテーション(リハビリ)
変形した関節の痛みや拘縮がある場合に行われます。筋力の強化や可動域訓練によって、関節などへの負担を減らし、痛みの緩和や日常動作の回復を図ります。また手術を受けた際に退院後のリハビリを当院で受けることもできます。