肉離れとは
肉離れで特に注意が必要なのは、成長期に起こるものです。子どもが肉離れを起こした場合、適切な治療を受けるのが遅れると痛みに反応して全身の筋肉が硬化し、身体にゆがみを生じる場合があります。また、成長期には筋肉と骨が付着している部分がやわらかく、強い力で引っ張られると剥離骨折を起こしやすい傾向があります。新生児から幼児までは筋力が弱いので肉離れを起こすことはほとんどありませんが、小学校高学年になると肉離れを起こしやすくなりますので注意してあげてください。
ダッシュやジャンプなどの急激な負荷をかけた後に痛みを訴える場合は、できるだけ早く受診してください。
肉離れの原因
筋肉に急激な負荷がかかる動作を行った際に、筋肉がその力に対応できないことで筋肉が断裂します。
また、筋肉に疲労がたまっていたり、弱くなったりしていると、特に強い負荷をかけたつもりがないのに筋肉が断裂することもあります。
スポーツの前に準備運動やストレッチを行うと、筋肉が柔軟になって肉離れを起こしにくくなります。運動をする前には必ず準備運動を行い、普段からこまめにストレッチをして筋肉の柔軟性を保ちましょう。
肉離れの症状
成長期の子どもやアスリートは、太ももの後ろ側の大腿二頭筋・太ももの前側の大腿四頭、太もも裏側の内側にあるハムストリングスに肉離れを起こしやすい傾向があります。中高年の場合は、ふくらはぎの腓腹筋に肉離れを起こしやすくなります。腓腹筋の肉離れはテニスでも起こりやすく、「テニスレッグ」と呼ばれることもあります。
まずは正しい応急処置を
直後は冷やす
まず行うのは、患部の冷却です。肉離れになったらできるだけ歩かず、濡れタオルなどで患部を冷やします。内出血の拡大を抑えるためには適度なアイシングが重要ですが、冷やし過ぎてしまうと筋肉が硬くなって血行が悪化し、回復が遅れてしまいます。30分以上冷やさないようにしましょう。
圧迫
出血を防ぎ、腫れを最小限に食い止めるため、患部は適度に圧迫しましょう。
下肢挙上
病院への移動のための車を待つ間は、足を高く持ち上げた下肢挙上を保つと痛みが和らぎやすいため、ソファなど横になれる場所で膝を軽く曲げて足を上げてください。また、患部が心臓より高い位置にあると腫れの防止や軽減効果が見込めます。
患部に負担をかけない
移動中は、肉離れを起こした側に体重がかからないようにします。車までの徒歩移動の際には、短い距離でもおんぶや肩を貸してもらって移動してください。
検査・診断
超音波検査、X線検査、MRI検査などで状態を確認します。肉離れ・剥離（裂離）骨折の有無、軽症・重症の判断を行って、適切な処置を行います。
肉離れといっても、いわゆる筋肉（赤みの部分）が損傷を受けた場合と筋（スジ）の部分が損傷を受けた場合では治療期間が全く異なります。期間は前者は短く、後者は長くかかります。超音波やMRI検査にて正確に診断します。
治療
基本的に、安静と固定、その後のリハビリによる治療が中心になります。肉離れは、見えていない部分に切り傷や裂傷を起こしている状態です。切り傷は切れた部分の皮膚を寄せて固定することで早い回復が望めます。肉離れでも筋肉の線維を固定することで早い回復が期待できます。程度に応じて、最初の数日～3週間程度は固定して修復を促します。いわゆる筋肉の部分が切れた肉離れの場合、短期間で痛みも消失していくことが多いのですが、痛みが取れたからといってすぐにスポーツや重労働を再開してしまうと、肉離れを再発し難治性となってしまうので注意が必要です。
また、損傷を受けた部分をできるだけ早く再生させるためには、血行の改善が不可欠です。また慢性期で筋肉が固くなってしまった際は体外衝撃波治療を行うこともあります。リハビリでは、早い回復につながる身体の動かし方、ストレッチ法などもお伝えしています。
